大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

高松高等裁判所 昭和24年(控)1046号 判決 1949年12月10日

被告人

吉岡鶴久

主文

原判決を破棄する。

被告人を懲役八月及罰金三千円に処する。

右罰金を完納することが出來ないときは金百円を一日の割合で換算した期間被告人を労役場に留置する。

訴訟費用は全部被告人の負担とする。

理由

控訴理由第一点の要旨は、原判決は被告人が本件衣類を賍物であることに氣付きながら栗田彦一に賣つてやり賍物の牙保をしたと判示し右知情の証拠として(中略)相被告人出海に竊盜の前科があり最近刑務所を出て來た者であることを被告人が知つて居たこと(中略)を引用して居る(中略)之に対し被告人出海は農業であるから出所後眞面目に働いては居るが毎日收入があるものではないと思い、よく洋服を着る習慣のある同人が洋服を賣ると言ふ話を眞に受けたと原審公判廷で述べたのであるが公判調書に其の記載が洩れて居ると謂うにある、(中略)所論の如く公判調書の記載に脱漏ありとせば刑事訴訟法第五十一條に依り異議の申立が出來るに拘らず被告人又は弁護人に於て異議の申立をした形跡もないから原審公判調書に脱漏ありとは認められない。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例